(「産経新聞」三重版・平成19年9月3日)
皇室の伝統を守る運動や、学校教育改革について考える「日本会議」(本部・東京都目黒区)への参加者を募るセミナーが、名張市元町のリバーホールで開かれた。活動を幅広く伝える同会の「日本会議 全国縦断キャラバン」の関係者や一般参加者ら約60名が出席。皇學館大学文学部の松浦光修教授(神道学)の講演を熱心に聞いたほか、関係者は同会の「名張支部」設立の協力を呼びかけた。
日本会議は三好達・元最高裁判所判事が会長を務め、平成9年に発足。県組織の「日本会議三重」(会長・佐野方比古・県神社庁副庁長)も同年に同時発足し、学校教育に関する県内自治体への提言活動を続けている。
名張市で開かれたセミナーでは、キャラバンのメンバーで日本会議全国組織局の出島正人・組織強化部長が「道徳や公共の精神を尊重する新教育法の意義を普及させることや、日本会議の支部を増やす活動に地道に取り組みたい」とあいさつ。
また、来賓の橋本隆雄・名張市議が「(同市は)全国でも先駆的に『モラル都市宣言』の請願を採択している。しかし、市内の教育関係者でも(同宣言を)知らない人が多く、今一度、普及活動を行いたい」などと抱負をはなした。
一方、セミナーでは日本会議三重の玉江喬・県本部運営委員(81)=同市つつじが丘南=が、出席者に同会議の名張支部設立の意向を説明。
日本会議三重は、現状で県内に支部がないため、玉江さんは年内にも県内初の名張支部の立ち上げを目指している。
玉江さんは「25人以上の会員を集めて(名張支部を)発足させたい。日本の伝統文化を次世代に伝える役割などを担い、県内各地に支部を広げるための足がかりにできれば」と話している。
松浦教授の講演要旨 戦後教育により、子供たちへの「知育」「道育」「体育」の3つの教育が劣化している。日本語の読み書きさえ、ろくにできない若者が増える中で、小学校から英語を教える必要はあるのか? 日本の子供が相対的に勉強をしなくなったのは、ゆとり教育の弊害だ。ゆとり教育とは、子供にゆとりをもたせるのではなく、教職員の勤務にゆとりをもたせるためにある。
信じられないような、わがままな子供も増えている。人とを傷つけるのは平気だが、自分が苦しむことには耐えられない。思い通りにならなければ、すぐにふさぎこむ。(横綱の)朝青龍みたいなものだ。
子供たちをよりよい方向に導くには、大人たちが語りかけなければはじまらない。「立派な先祖の子孫として、誇りを持って生きなさい」。そう教えるべきだ。自己否定感ではなく、自己肯定感を子供にもたせる。それが新しい教育の出発点にしなければならない。
日本会議 平成9年に設立し、今年10周年をむかえた。
石井公一郎・元ブリジストンサイクル社長や山本卓眞・富士通名誉会長など財界関係者や、小堀桂一郎・東大名誉教授や小田村四郎・前拓殖大総長など学会の支援者も多い。
「国防意識の喚起」や「家族の絆の結束」「新憲法の制定」などもスローガンに掲げて活動している。