山梨県教組の政治団体を告発 (「神社新報」・平成17年3月7日)
山梨県教職員組合を巡る違法な政治資金収集問題に関して、二月上旬、元拓殖大学総長の小田村四郎氏、元参院議員で神奈川県教組委員長経験者の小林正氏ら教育関係者有志五人が、同教組が加盟する政治団体を政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで、同県警ならびに東京地検に告発した。
同教組は昨年七月の参院選に向けて、民主党の輿石東参院幹事長の選挙資金集めを組織的におこない、しかも校長や教頭から集めた少なくとも一億円に上るカンパは政治資金収支報告書に記載されず、さらには有権者への電話作戦に教員が動員されていたことが昨年来、新聞報道で伝えられ、国会でも繰り返し追求された。一部教員が同県教育委員会に告発したものの、県側は「黙殺」状態。「軽微な処分で、事件を瞹眛なままに幕引きしようとしている。法治国家にあるまじきことだ」として、有志らは告訴に踏み切った。
学校教員の政治活動は「教育公務員特例法」十八条で国家公務員に準じて「制限」されている。「国家公務員法」は百二条で「政党または政治的目的のために、寄付金を求めるなどの行為に関与してはならない」と定め、違反者は「三年以下の懲役、または十万円以下の罰金に処する」と規定している。また「人事院規則」は「政治的目的の定義」として、「公職選挙で特定の候補者を支持すること」「特定の政党を支持すること」などを列挙している。山教組の行為が事実なら、明らかな法律違反だが、「教育公務員特例法」十八条二項は「違反者の処罰について国家公務員法による趣旨を」含みものと解してはならない」と規定しこのため「ザル法」状態で、教員の政治活動を野放しにしてきた。
有志の一人、皇學館大学の松浦光修助教授は、「わが国では戦後六十年にわたり、一部の政治勢力が教育現場はじめ公務員一般に不当な支配力を行使してきた。公務員を違法な政治活動にはとんど強制的に駆り立ててきた戦後の悪しき社会構造こそが、問題の根底にある。徹底した捜査と司法の厳正なる判断を期待したい。事件の再発を防止する法的整備も必要だ」と語っている。